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小原 真司*; 大石 泰生*; 高田 昌樹*; 米田 安宏; 鈴谷 賢太郎
日本結晶学会誌, 47(2), p.123 - 129, 2005/04
第3世代放射光からの高強度高エネルギーX線回折を利用すると、その短波長と高透過能から、透過法で広いQ領域を迅速に測定することが可能になる。われわれは、最近、SPring-8における高エネルギーX線回折とパルス中性子回折を組合せ、さらにこの両データに逆モンテカルロシミュレーション法を適用することにより、これまで不明であったガラスや液体など非晶質物質の「乱れた構造」を三次元可視化し、その詳細を理解することに成功した。本稿では、その実験の詳細と酸化物ガラスと強誘電性半導体混晶の成果について解説する。
鈴谷 賢太郎; 小原 真司*
まてりあ, 41(3), p.206 - 215, 2002/03
第三世代放射光源SPring-8より得られる高強度の高エネルギー単色X線(E30keV)を用いた回折実験及び実験装置(BL04B2高エネルギーX線回折用2軸回折計)の概要と、その高エネルギー単色X線回折によるランダム系物質:酸化物ガラスの構造研究の現状について解説した。高エネルギー単色X線の持つ短波長,高透過能から、回折実験によって、高い散乱ベクトルQ(300nm)まで(吸収補正などの)データ補正のほとんど必要ない精度の高い構造因子S(Q)を得ることが可能となった。SiO,GeO,BOガラスなどの基本的なネットワーク形成酸化物ガラスの高エネルギー単色X線回折による高精度のS(Q)データに、逆モンテカルロ・シミュレーション(Reverse Monte Carlo Simulation = RMC)法を適用することによって、ランダム系物質の物性を研究するうえ上で極めて重要であるにもかかわらずこれまでデータ解析がほとんど不可能であった中距離構造(短範囲構造ユニットのつくるリング構造など)の信頼できるモデルを構築することに成功した。今後、ランダム系物質の特異な物性は、本研究で示されたような、中距離構造を含む大きな構造モデルをベースに理解が進むものと考えられる。
小原 真司*; 鈴谷 賢太郎
Physics and Chemistry of Glasses, Vol.43C 2002, p.51 - 54, 2002/00
第三世代放射光源SPring-8より得られる高強度の高エネルギー単色X線の持つ短波長,高透過能から、回折実験によって、高い散乱ベクトルQ (350nm)まで(吸収補正などの)データ補正のほとんど必要ない精度の高い構造因子S(Q)を得ることが可能となった。最も典型的なネットワーク形成酸化物ガラス:シリカ(SiO)の高エネルギー単色X線回折による高精度のS(Q)データに、逆モンテカルロ・シミュレーション(Reverse Monte Carlo Simulation = RMC)法を適用することによって、ランダム系物質の物性を研究するうえで極めて重要であるにもかかわらずこれまでデータ解析がほとんど不可能であった中距離構造(短範囲構造ユニットのつくるリング構造など)の信頼できるモデルを構築することに成功した。今後、ランダム系物質の特異な物性は、本研究で示されたような、中距離構造を含む大きな構造モデルをベースに理解が進むものと考えられる。
小原 真司*; 鈴谷 賢太郎
放射光, 14(5), p.365 - 375, 2001/11
第三世代放射光施設における高エネルギーX線回折は、液体やアモルファス固体,ガラスなどのランダム系物質の構造解析に大きな進歩をもたらした。特に、X線の波長が短いため、高い散乱ベクトルQまで測定できるので、実空間分解能が飛躍的に向上した。また、X線の強度と透過能が高いため、少量の試料を透過法で測定できるので、高温高圧下での測定も比較的容易である。したがって、これまで(パルス)中性子回折によって調べられてきたランダム系物質のデータとの直接比較が可能である。われわれは、SPring-8において、ランダム系物質専用の高エネルギーX線回折計を建設し、いくつかの酸化物ガラス(SiO及びGeOガラス)の中距離構造を明らかにした。特に、高エネルギーX線回折とパルス中性子回折の両データに、逆モンテカルロシミュレーションを適用し、中距離構造を含むガラスの大きな構造モデルの構築に成功した。これらの高エネルギーX線回折を中心とした、ランダム系物質の短・中距離構造の精密な構造解析法は、高温下でのランダム系物質の構造変化を調べる研究などにも適用され、SiOガラスは1000の高温下でも短距離構造は変化せず、わずかに平均的な中距離構造に変化が現れるだけであることが明らかになった。